宿泊予約ポータルサイトと自社サイトの販売比率のバランスの最適化を考える。
ホテルのインターネット販売において、「楽天」や「じゃらん」といった宿泊予約ポータルサイトの比率が高まる中、今後の理想的な販売比率(自社とそれ以外)を考えてみましょう。
チサンホテルグループとサンルートホテルチェーンとの業務提携のニュースがありました。まずはチサンホテルの2ホテルとホテルサンルートの1ホテルから始めるようで、両社のホームページの予約サイトから相互に予約できるようにするようです。
この2つの大手ホテルチェーンが提携する背景には、「楽天」や「じゃらん」などのインターネット予約サイトの台頭があります。
当初は、これらのサイトも売上の底上げを補う程度のものでしたが、今では、売上の根幹をなすまでに占有しているような状況になっています。
もはや、これらのサイトなしでは、生きていけないと言っても過言ではないのです。
さらに、「楽天」では、この状況に乗じて、手数料の値上げを検討しているようなので、ホテルとしても、現状を打破するための策を講じようとして、今回の提携となったのでしょう。
しかし、いくら大手ホテルチェーンといえども、自社サイトだけでやっていけるほど、甘くはありません。
市場のユーザーにとっては、「楽天」や「じゃらん」などの宿泊ポータルサイトでホテル選びをすることが、スタンダード化しているのが現状です。
「あのホテルに泊まりたい」、「あのチェーンのホテルに泊まってポイントを加算したい」などと思っている人が、何割いることでしょうか。
今回提携するホテルチェーンは、名指しされるような特長あるホテルではありません。
自社サイトだけでは無理でしょう。
宿泊予約ポータルサイトを選ぶか、自社サイトを選ぶかは、ユーザー次第です。
ユーザーが、自社サイトを単独で選んでくれるには、膨大な広告をもって知らしめなければなりません。そんなことはできないでしょう。
そうであるならば、私は、中途半端な提携をやめて、現状の規模のままでも、少しでも特長のあるホテルを目指すべきだと思います。
「清掃だけは隅々まで行き届いているホテル」
「癒しの香りがホテル中に行き渡っているホテル」
「スタッフがいつも笑顔のホテル」 など、ソフト面での特長ならいくらでもあるように思います。
これらの特長は、口コミなどにより拡散し、宿泊ポータルサイトで高評価を得ることで、適正料金での販売がしやすくなると思います。手数料の値上げに文句を言う前に、自社の販売料金のアップ策を講じてはどうでしょうか。
宿泊ポータルサイトを毛嫌いせず、うまく利用するぐらいの気持ちで臨むことが得策だと思います。
(日経MJ/2014年3月28日号「サービス&エンターテイメント」)
まとめ(今日の販促ポイント!)
星野リゾートは、自社販売比率がたいへん高いホテルチェーンです。 なぜそうかというと、「星野ブランド」を構築し、世間に知らしめたことにあります。 今や、国内宿泊施設の中で、「憧れの宿=星野」という地位を築くまでになったと言ってもいいでしょう。 ここまでいけば、宿泊ポータルサイトのチカラを借りずともやっていけるのです。 この星野のブランド化は、ここ10年ぐらいのことです。 今やネットの普及により、ブランド化もしやすくなっています。 ブランド化を目指してはどうでしょうか。 |