お客の心をつかむ技=「使い心地や雰囲気を買う前に体感してもらう」
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あるインテリア店の、高級じゅうたんをお客に紹介する際の「お客の心をつかむ技」について紹介します。
そのインテリア店では、もともと、2階へは靴を脱がせてスリッパで上がる作りだったようです。
そこで、その2階を期間限定で『じゅうたんカフェ』としたそうです。
床の上に敷かれたじゅうたんの上をスリッパを脱いで歩いてみると、足裏から伝わってくる感触は、何とも心地よくたいへん好評のようでした。
晴れていると2階の窓を開け、外の景色と風を感じられるようしていました。また、この雰囲気にピッタリの曲も流し、しばしの間、この心地よい時間に浸るお客が数多くいたようです。
この店では、この「じゅうたんカフェ」を催した後、さらに多くのじゅうたんを仕入れて、期間限定の販売会を展開して、大成功をおさめたようです。
その販売会では、「先週のじゅうたんカフェの時に敷いていたものと同じ織のじゅうたんですよ」などと、あの時「感覚」と比較をさせることが、最大の狙いなのでした。
それまで、じゅうたんは、部屋の雰囲気に合ったものでいい、といった具合に、色や柄だけで選ぶ=モノでしかなかったのでした。
それが、「あのじゅうたんの上で寝っ転がって、本を読みたい」と思ってもらえることが、何よりもうれしいと、店主は言っています。
この店主の考えや価値観に、お客の心をつかむ技がつまっているのです。
(日経MJ/2014年5月21日号「招客招福の法則/小阪裕司」)

ホテルや旅館においても、じゅうたんと同じように買う前の「体感」はできないかと考えました。 たとえば、チェックイン時間の1時間前にホテルに来てもらい、何部屋か下見できるようにするサービスはどうでしょうか。 通常ホテルは、予約した自分の部屋が何号室なのかは知らされてはいません。何階なのか、外の景色はどう見えるのか、など、その部屋が持つ『付加価値』までは、わからないで購入しています。 自分の泊まる部屋が、選べるようにできれば、お客にとってたいへん魅力的なサービスになると思います。 これも「お客の心をつかむ技」の1つになるかもしれません。 |