秩父の冬の観光誘致=「氷柱(つらら)」に学ぶ。自然美は人工でも感動を呼ぶ。
★埼玉の秩父の山あいで「つらら観光」を有志で仕掛ける
埼玉県の秩父地方の山あいに位置する小鹿野町は、目立った観光も資源もない。
そんな小さな町に、冬の2ヶ月間だけで、3万5000人の観光客を集める観光名所があります。渓谷で巨大氷柱(つらら)を楽しめる「尾ノ内百景(ひゃっけい〜)氷柱」(写真右)がそれです。
この「尾ノ内百景氷柱」は、地元の有志が作り、観光名所に育て上げました。
2010年、観光客のいなくなる冬の山間部で、「何か観光の目玉となるようなものを作れないか」と考えていたところ、厳しい冬の寒さを逆手にとった妙案を考え出したのです。
何もなかった渓谷に、近くの沢からホースで水を引き、渓谷の壁面や木々に散水して、巨大な「氷柱」を作り上げたのでした。
観光客は、今年3万5000人が訪れました。
この成功には、ひとつ理由があります。
人工ではなく、自然にできた巨大な氷柱の観光名所が近くあり、秩父の渓谷には巨大な氷柱の名所があるということが、ある程度は認知されていたことです。
それは、ここの場所から車で50分ぐらい行ったところにある、「奥秩父の冬の名勝「三十槌の氷柱(みそつちのつらら)」(写真左)です。
荒川沿いに切り立つ山の岩肌から染み出す湧き水=岩清水が寒さによって凍り、無数のつららを作り出しているのです。まさに自然の作り出した造形美なのです。
このように、秩父地方は、寒さが厳しい環境にあることから、氷柱ができやすい環境であり、渓谷の巨大氷柱は、人工的なものであっても、無理のない人工物であったから、成功したのだと思います。
もうひとつの理由は、人工的につくれるから、自然環境のちょっとした変化に左右されない。見に来てくれた観光客をがっかりさせることが少ない。ことがあります。
自然のままのものですと、暖冬だからとか、夏場の雨量が少なかったからとか、とその時ごとの気象条件によって、大きかったり小さかったりするものです。
しかし、人工的なものならば、そんなことはありません。上の写真を見ても明らかでしょう。右の方が明らかに巨大な氷柱、氷壁といってもいいぐらいです。
人工的なものだからと言って、お客さんは興ざめすることなく、感動して、満足する人がほとんどだそうです。
このように、町おこし、観光誘致は、まだまだ眠っています。
厳しい環境を逆手に取ったアイディアを考えてみてはどうでしょうか。
(日経MJ/2013年12月8日号「観光・街づくり」)
まとめ(今日の販促ポイント!)
夏の暑さの有名地といえば、埼玉県の熊谷市、群馬県の館林市です。 ここで、夏の猛暑を逆手に取ったアイディアはないものでしょうか。 気温40度を体験! 40度がどれくらい暑いかを体験できるブースを作ってはどうでしょうか。 意外に人気が出るかもしれませんよ。 このように、厳しい環境を逆手にとった観光誘致は、ヘタなイベントよりも集客効果はあるのではないかと思うのですが。 |